若林先生:こんにちは
聞き手:こんにちは
若林先生:今、日本国憲法の改正が議論になっていますね。何か質問はありますか?
聞き手:はい。今の憲法は世界大戦が終わった後に作られたのは知っていますが、今までに改正されたことは無いのですか?
若林先生:そうです。1回も無いんです。今の憲法は1946年に公布、1947年に施行されました。それから70年経っています。それでも1回も改正はされていないのです。
聞き手:へぇー。憲法を含めて法律を改正する方法はありますか?
若林先生:あります。憲法の中にある第56条第2項に書かれています。法律を作るとき、改正するとき、国会の出席議員の過半数の承認があれば認められます。でも、例外もいくつかあります。例えば、衆議院で承認された法律の改正案を参議院に渡しますが、参議院が認めない場合もあるかもしれません。その時は困りますね。その時は、改めて衆議院でもう一度承認することができます。ただ、条件が厳しくなります。1回目は出席議員の半分以上でしたが、2回目の場合は出席議員の3分の2以上になります。つまり、300人出席した場合、普通の法律を作る時や改正する時は、151人の承認があれば良いのですが、先ほど言った例外の場合は、200人以上の承認が必要になります。
聞き手:なるほど。法律改正の方法は、憲法改正の方法と同じですか?
若林先生:違います。ただ、方法は憲法に書かれています。第96条に載っています。そこに書かれていることは、2つの段階があることについてです。1つめは、国会は国民に対して、憲法を改正したいけど、どう?と提案することです。「発議」といいます。2つめは、国会から提案されたことに対して、国民が投票して承認することです。国会の提案と国民の承認、これらの2つの段階が必要です。まず国会の発議で必要な条件は、先ほど説明した法律の成立や改正よりも厳しいです。何が厳しいかというと、数です。
聞き手:数ですか?
若林先生:憲法に書かれてあることを見ると、数字が載っています。何かというと、衆議院、参議院、それぞれの総議員の3分の2以上、衆議院の総議員の3分の2以上、参議院の総議員の3分の2以上、厳しくなっています。“総”議員です。先ほどの法律の場合は、“出席”議員です。議員の数で計算すれば良いのです。憲法の場合は総議員です。具体的な数字を挙げてみましょうか。衆議院の今の数(2017年3月時点)は475人です。参議院は現時点(2017年3月時点)で242人です。参議院の方の数字は少し変わるかもしれません。今は475人と242人です。それぞれの3分の2です。475人のうち317人以上、242人のうち162人以上の承認が必要です。本当に厳しいです。例えば、衆議院で300人集まりました。沢山いますね。300人集まって300人全員が賛成しても通りません。317人の承認が必要です。本当に厳しいんです。
聞き手:そうなんですね。法律の改正に比べれば、憲法の改正は手順がとても厳しいんですね。手順の中の、国民の承認とはどういう意味でしょうか?
若林先生:そうですね。説明が漏れていました。国会で承認された後、改正案を「どう?」と国民に提案します。国民がそれを見て、良い、悪い、を投票で決めます。賛成と反対の投票です。有効な投票の中で、半分以上、賛成が集まって、やっと憲法改正が通ります。具体的には、新しい法律ができます。「憲法改正手続きに関する法律」という名前の法律があります。2007年にできました。
聞き手:なるほど。憲法改正って本当に大変と分かって、とてもびっくりしました。それくらい憲法は重要視されているんですね。
若林先生:そうですね。
聞き手:そのようにして新しく改正された憲法は、天皇が公布するのでしょうか?
若林先生:そうです。その通りです。天皇が国民の名前で公布します。ところで、今、憲法改正には議論があると、さっき話しましたね。どんな議論があるか、知っていますか?
聞き手:うーん。それは平和憲法と言われている通り、「戦争放棄」を定めている第9条のことですか?
若林先生:そうです。議論が尽きません。昔から議論が続いています。何か?憲法9条を見てみると、戦争を放棄する、戦力の保持を認めない、とあります。でも、実際には自衛隊がいます。これは何だ、おかしいじゃないか、憲法違反ではないか、と言われています。今までは、国は憲法の文章の読み方・考え方を工夫して説明してきました。でも、無理があるんじゃないか、ということで、きちんと改正をする必要があるんじゃないかと、議論になっています。この他にも色々な議論があります。今話した9条問題もそうですし、国の安全保障問題もそうです。他にも、天皇の立場についてもあります。さらに、「知る権利」とか、「環境権」とか、この2つにも議論があります。他にも沢山あると思います。一緒に考えていきたいですね。
聞き手:そうですね。
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